2006-01-01から1年間の記事一覧

2006年を振り返って

2006年の7月末からスタートしたこのブログもスキップした日もありながらも約100回記すことができた。 欧米の主要メディアからCSRの情報を伝えることを目的としているブログで、この半年の流れで気づくことは、世界的には医療や健康、地域間格差をCSR…

100ドルPC

MITのネグロポンテ教授と国連のアナン事務総長が中心になって進めている「One Laptop Per Child Initiative (OLPC)」。2006年の最も画期的な商品開発として注目されている。OSはリナックスを使用しWiHi対応で、生産コストは約140ドル。これを貧しい国の子供…

プリンセス症候群

約6年前にディズニーが企画物で、9つの女の子キャラクターを女王風なパッケージにして販売したところ、全米の少女たちに大流行し、その他関連商品などを合わせてディズニーのプリンセス商品は2001年には330億円程度だった売上が現在では3300億円を上回る10…

クアーズのヒスパニック社会への貢献

米3位ビール会社のクアーズがコロラド州デンバーで、ヒスパニック移民向けに地域貢献をしている。カリフォルニア州やテキサス州と異なり、コロラド州は移民問題であまり複雑な状況になっていないが、やはり移民の人たち自身そして、その地域の地元の人々に…

2006年10大ニュース

フィランソロピーの情報サイトである「on Philanthropy」が今年の10大ニュースを発表した。同サイトとしては、今年はフィランソロピーが経営トップや創業者によるトップダウンの決定から、よりグラスルーツ的な方向に向かう決定的な年であったとしている。フ…

#93 シリコンバレーとエコ

シリコンバレーのリーダー達が真剣に地球温暖化問題に取り組み始めた。ヒューレットパッカードの創業者の1人であるデビッド・パッカードを中心に組織されたシリコンバレー・リーダーシップ・グループは、シリコンバレーで働く人々に向けて環境に優しい通勤方…

#92 ステークホルダーエンゲージメントの例

このブログでも何度か紹介した米国のオーガニック・ブームの仕掛け人の1つであるホールフーズマーケット(WFM)。今回はロサンゼルス近郊の一風変わった町への出店を巡った地域社会との関わりの一例である。LA近郊の町バーバンクは、現在でも西部劇さながらの…

#91 コーヒー農家の手元にはたった3セント

スターバックスがエチオピアのコーヒー農園と対立している。エチオピアは世界最貧国の一つ。数少ない輸出資源の中でもコーヒーは1500万人の人々が生活を依存する主要産業である。エチオピアのコーヒーはクオリティが高いことで知られ、スターバックスや世界…

ハリウッド流飲酒運転対策

洋の東西を問わず、飲酒運転は深刻な問題になっている。車社会カリフォルニア州でもとくに若者やセレブの集まるハリウッドでも、飲酒運転防止啓蒙活動が行われている。今年で10回目を迎えた"Don't Drink and Drive"ではハリウッドにあるバーやレストランのカ…

メリンダ・ゲイツ

マイクロソフトのビル・ゲイツ夫人のメリンダ・ゲイツ女史のインタビューがウォールストリートに掲載されたので、今回はこれをテーマに。ゲイツ夫人は、結婚前はマイクロソフトで働いていたOLであった。その後、ゲイツ氏と結婚し、3児をもうけるわけだが、…

貧しい人と盆栽

12月10日にノーベル賞の授賞式が行われたのであらためてグラミーン銀行とヤヌス氏の話題。ファイナンシャルタイムズ紙の記者とヤヌス氏とのインタビューが掲載されているので、2つ印象に残った言葉を紹介したい。 グラミーン銀行とヤヌス氏がノーベル平和賞…

#87ヴィクトリア(ダーティー)シークレット

女性に人気の下着メーカーのヴィクトリア・シークレットが犬猿の仲にあるNPO(ForestEthics)と環境改善に向けて合意した。ヴィクトリア・シークレットは、路面店やモールなどにショップを持つ一方、カタログ販売も積極的に展開している大手衣料小売チェーン…

年末年始はマウイでCSR

ハワイ・マウイ島のハイアットリージェンシー・リゾート&スパはクリスマスシーズンから年末年始のホリデーシーズンにかけて、同リゾート全体として癌予防啓発のキャンペーンを行う。これはクリスマスなどのホリデーシーズンになると人々は病気で亡くなった…

オーガニックブームに異変か?

米国のオーガニックブームの仕掛け人であるホールフーズマーケット(WFM)の勢いに陰りが出てきたようだ。1980年の創業以来、好調な売上と新規出店ペースで拡大してきたオーガニック主体のWFMは、近年は毎年売上が二ケタで増加する勢いであった。しかし、先日…

#84 World AIDS Day

先週金曜日の12月1日は世界エイズデーだった。日本でも来日しているU2ボーノが安倍首相にあったり、超有名なグループの方が横浜で啓発コンサートを開催したりと、比較的注目を集めた日になったようである。CSR的にも世界各地で大手企業を中心にイベントやア…

カンパニーTOカントリー

B2BやB2Cがビジネスの言葉として使われているが、ピラミッドの底辺を解決する策としてC2Cをビジネスのなかに取り入れている企業がでてきている。世界でも最も尊敬されているアメリカの会社である。これはCompany to Countryのことで、ピラミッドの底辺にいる…

#82 日米欧の違い

日米欧の企業のCSRの取り組みは似ているのかそうでないのか、よく議論されるところだ。今回、こちらで話に聞く限りは、欧州では企業よりもEUなどの国を越えた組織による欧州企業のCSRの取り組みを監視する動きがでてきている。したがって、企業にとってはや…

#81 NYにて

今週はNYに来ていることから世界の中心であるマンハッタンで気づいたことや会った人との会話などを記したい。とりあえず、今回は雑誌のカバーで気づいたこと。 いわゆるビジネス誌であるビジネスウィークやエコノミスト、そして最近頭角をあらわしてきた社会…

#80 地球温暖化対策で進んで欲しくない核エネルギー開発

世界最大の石炭産出国で最大の石炭輸出国であるオーストラリア。ブッシュ大統領と米国の影に隠れてあまり取り上げられないが、オーストラリアも京都議定書を批准していない国の一つである。そのオーストラリア、自国のエネルギー需要は自給自足で対応できる…

#79 バイオ・ヘルスケア大手アムジェンと有名デザイナーが癌に苦し

久しぶりにCSR活動のレポートを。米国のバイオ・ヘルスケア大手のアムジェンが昨年から癌患者の闘病生活を支援したり、癌を克服した人々を支援する活動に乗り出した。自らが癌(直腸癌)を克服した患者でもあった有名デザイナーカルメン・マルク・バルボが無…

#78 新たな飲酒運転対策

日本同様、アメリカでも飲酒運転による交通事故死者数が高止まっていることが大きな問題になっている。日本のメディアでも紹介されていたいが、アメリカのいくつかの州では自動車に装着されたアルコール探知機に息を吹きかけ規定以上のアルコール度数が確認…

#77 中国アパレル工場の労働環境改善への道険しい

世界的に有名なアパレルブランドの多くは自社で工場を持たない。あくまでもセールス&マーケティングの会社である。それでは誰が衣服を作っているのか、というと発展途上国の労働者達である。とくに安価で豊富な労働力を持つ中国はこれらのアパレルブランド…

#76 銀行が慈善事業の助言サービスを開始

欧米の銀行が超富裕層向けのサービスとして慈善事業への寄付(投資)助言サービスに力を入れ始めている。欧米の銀行では関連会社に富裕層専門のプライベートバンクを持っていることが多い。ここの銀行員は富裕層のお金の使い方に精通しているプロである。マ…

#75 これが本当のCSR的アクティビスト

米国のアパレルメーカー7社が中心となり、最近フィリピンで多発しているストライキをしている労働者や労働者の人権を擁護する人々が殺傷されている事件に対して、アロヨ政権としてきちんとした人権政策を出すように求めている。過去10年間でアムネスティなど…

#74 環境専門のグリーン銀行誕生

米国で初となるグリーン銀行がいよいよ本格的な営業を開始する。グリーン銀行は環境技術や環境関連のベンチャー事業に融資・投資する銀行で、その一つであるニューリソースバンクはシリコンバレーのIT長者など約240の投資家がお金(約30億円)を出し合っ…

#73 LAの衣料工場が洋服お直し屋として再生

このブログを運営するコーポレートシチズンシップが翻訳で関わっている本が来月発売される予定である。本のタイトルは「あなたのTシャツはどこからきたの?」(予定)で、Tシャツの原料である綿が生産される農家から製造工場のある中国、そして古着として一…

#72 ミス・シニア・アメリカ

今回は第26回目を迎えたミス・シニア・アメリカを取り上げたい。10年前であればミス・アメリカやミス・ユニバース同様に単に商業的とみられ関心が薄れてきた感があったが、ここにきて、女性、とくに途上国の女性が社会進出するきっかけをこのようなコンテス…

#71 社会的対話がCSRを持続させる秘訣

アパレル・ブランドのGAPは、国際繊維・衣料・皮製品労働組合(ITGLWF)の協力を得、自社のグローバルサプライチェーンにおける 成熟した労使関係を築くために労働者や地域住民との対話(社会的対話)が持続性のあるCSRプログラムの運営に不可欠であると判断…

#70 イタリア発 スモッグを食べるセメント

世界第5位のセメント会社であるイタリアのイタルセメンティは10年にわたる研究開発期間を経て、光をあてることで有害なガスである一酸化炭素、窒素、ベンゼンなどを分解する触媒の商業化をスタートすると発表した。まずは、地元イタリア、そしてフランス、ベ…

#69 一つの命How Much?

石油製油所の事故災害が続出し、CSRのイメージが高かったBP(ブリティッシュ・ペトロリャム)が揺らいでいる。今週から昨年テキサス州のメキシコ湾を臨むテキサスシティーの製油所爆発事故の裁判が始まった。その裁判における原告弁護団に対する証人喚問でBP…