メリンダ・ゲイツ

マイクロソフトビル・ゲイツ夫人のメリンダ・ゲイツ女史のインタビューがウォールストリートに掲載されたので、今回はこれをテーマに。ゲイツ夫人は、結婚前はマイクロソフトで働いていたOLであった。その後、ゲイツ氏と結婚し、3児をもうけるわけだが、多くのカップル同様、出産・育児中は社会に復帰することなく、子供たちの面倒で手一杯だったようだ。しかし、一番小さい子がもうすぐ小学校に上がるということが転機となり、ここ1、2年で夫妻で設立したゲイツ財団の活動を積極的に行っている。発展途上国への視察では旦那のゲイツ氏よりも頻繁に訪れているそうだ。ゲイツ財団はおもに発展途上国で深刻化する医療問題:エイズマラリア結核などの解決にあたって資金・技術を提供することを行っている。最近では、世界第2の富豪であるウォーレン・バフェットが4兆円を越える寄付をゲイツ財団にすることを発表し世界的なニュースになり、ゲイツ財団の取り組みや資産規模が世間では注目されるが、私が、インタビューを読んで、とくに感心したことは、ゲイツ財団のトップ自らが資金や技術提供先の国や政府、NGO、現地の人々を訪れ、財団による貢献度合いをきちんと現地実態調査をしている、ということである。慈善財団で、トップ自らが現地に赴くことは一般的なのかもしれないが、少なくとも日本ではそのような話はあまり聞かない。おそらく世界最大であろうゲイツ財団が積極的に動くことで、医療問題への関心の高まりと、慈善財団そのものへの関心、興味というものが高まるであろう。世界的に小さな政府が求められている中、起業家そしてその慈善財団があらたなガバナンスを世界の諸問題解決に向けて提供することは非常に有意義なものである。

Reference: Marilyn Chase, "Melinda Gates, Unbound", December 11 2006, The Wall Street Journal Online, Dow Jones & Company, Inc.