東芝の挑戦

新潟中越沖地震にわずかながらも義援金を提供した。これほどの甚大な被害に会われた方々に少しでもお役に立てればと願っています。
今回の地震では東京電力柏崎刈羽原発の停止問題で再び安全性への懸念が広がる原子力発電であるが、ここにきて日本企業としては米ウェスティングハウスを買収するなど原子力に活路を見出す東芝の戦略に注目が集まっている。先日発表された東芝保有するウェスティングハウス株の10%を世界有数のウラン生産企業であるカザフスタンのカザトムプロムへ売却し、東芝ウェスティンハウスが将来にわたり安定したウランの供給を確保する戦略にうってでようとしている。ウランは原子力発電に必要な燃料である。カザフスタンは2010年までにオーストラリアとカナダを抜いて世界最大のウラン産出国になる見通しだ。そういった中、エネルギー戦争がはじまっているグローバル経済の中で、M&Aが成立したばかりの東芝WHが間髪いれずに放った戦略である。非常に評価されるところである。ただ、温暖化問題がこれほど大きくなっていなければ、という条件つきであるが。
この東芝WHの計画に世界を代表する4つの環境NGO・団体が抗議文書を発表した。理由は、カザフスタンのガバナンスや核施設の軍事化への懸念からである。つまり、カザフスタンに10%の株を握らせて、東芝WHの世界最先端技術を株主として提供することは、とても不安である、ということだ。
国の体制にまで言及する非常にスケールの大きなキャンペーンである。この4つの団体はGreenpease、Essential Action、Knowledge Ecology Internationa、そしてNuclear Information and Resource Seviceである。それぞれキャンペーン、ロビー活動などでよく知られたプレーヤーである。
東芝WHがどのようにこの問題を解決していくのか興味を持ってみていきたい。
Reference: Isabel Gorst and Stephanie Kirchgaessner, "Green groups urge block on Westinghouse deal", July 23 2007, FT.com, The Financial Times Ltd