G8で本当に求められていること

現在G8サミットがドイツで行われている。地球温暖化問題が重要課題の一つに上げられている。このサミットを見越したように、G8各国の首脳が地球温暖化対策、ポスト京都議定書についての提案を発表しているが、世界がG8に求めていることは違うのかもしれない。たとえば2005年の英スコットランドで開催されたグレネーグル・サミット(http://www.g8.gov.uk/servlet/Front?pagename=OpenMarket/Xcelerate/ShowPage&c=Page&cid=1119518698846)ではアフリカの貧困問題解決にG8主要国は2010年までに5百億ドル(約6兆円)の支援を達成すると発表したが、2006年の数字を見る限りは全くターゲットの水準には到達していない状態である。5百億ドルはG8主要国のGDPのわずか0.15%を占めるにすぎない。この数字を達成することすら難しい状況である。2005年のこのサミット直後にロンドンの地下鉄テロが起き、ほぼ同じ時期に民間主導(U2ボーノなど)によるアフリカ支援コンサート「ライブ8」が実施された。最近の新聞でもモトローラー製ドコモの携帯の広告が出ているが、これは(RED)キャンペーンに販売価格の一部を寄付する試みである。アフリカのエイズ感染者支援に活かされる。G8などの主要国が中心にパッと決められるのであれば最も効率的だと思うのだが。なかなかそのような合意は形成され難い。各国の利害の思惑や選挙対策など。地球温暖化が票に結びつくとブッシュは本気で思っているのか、疑問の残るところである。それは日本の首相も、その他G8の首脳も同様なのではないか。アフリカ支援も直接票には結びつかない。だからG8で話しているのかもしれない。票には結びつかない、だけれども世界が関心を持っていることだから話そう、と。見方を変えると、票には結びつかないから、きれい事が話され、具体的な対策はどの国もしない、というようにもとれる。そうであれば、G8サミットを開催する意義は何なのであろうか?地球温暖化や貧困問題よりも、G8サミットそのものの意義を議論したほうが良いのではないだろうか。

Reference: "What the G8 must achieve" June 3 2007, FT.com, The Financial Times Ltd.