京都議定書の抜け道を活用してぼろ儲け

中国の化学工場などでは、ガス洗浄装置を設置し温暖化ガスを削減している。各工場では、温暖化ガス削減の見返りにカーボンクレジット(排出権)を獲得する。とくにこれら化学工場で排出されるガスはHFC(ヒドロフルオロカーボン)といわれる通常の二酸化炭素よりも温暖化効果の高いガスで、国際ガス排出権市場では5-15ドルで取引されている。前述のガス洗浄装置は1千万−3千万ドルの投資で設置することが可能なため、そこに目をつけたファンドや資産家が、現在、中国の工場へのガス洗浄装置設置に向けた投資を積極的に行っている。これら工場がHFC削減で得たカーボンクレジットを購入するのは京都議定書で削減を義務付けられている先進国の政府である。
しかし、ここに問題がある。HFCを削減することで取引される排出権は現在排出権市場の中核を成すまでになっているが、HFCの産業界で排出される温暖化ガスの割合は非常に小さいのだ。したがって、本当に地球の温暖化防止に役立っているのかはわからないところだ。
個人的には地球温暖化防止で環境技術や排出権取引の活性化に向けた投資をすることが最も効果的だと信じているが、このように、儲けが先行してしまって地球温暖化に本当の効果があらわれないような抜け道も出来てしまっている。

Reference: Fiona Harvery "China 'exploiting Kyoto lookhole'", January 17 2007, FT.com, The Financial Times Limited