#20 富士写真フィルムUSAのCSR:米国乳がん予防・治療支援団

浅薄な私は、フジカラーが米国乳がん支援団体(National Breast Cancer Foundation)に社会貢献、というプレスリリースを読んだとき、まず「?」という思いを抱いてしまいました。フジカラーというと日本を代表するフィルムメーカーで、アメリカにおいてもコダックに劣らないほどのブランド、販売力を持っています。コンビニ、ドラッグストアやガソリンスタンドなどで販売されている写真フィルムやデジタルフィルムの現像サービスなどはフジフィルムかコダックというケースが大半です。そのような会社がなぜ化粧品ブランドのエステローダーのような乳がん支援に乗り出すのか不思議でなりませんでした。アメリカを代表する化粧品ブランドのエステローダーは非常に積極的に乳がん予防や治療を支援する会社です。エステローダー会長夫人兼上級副社長のエブリン・ローダーが乳がん予防・治療支援団体(Breast Cancer Research Foundation)を設立し、ピンクリボンのキャンペーンを1992年からはじめました。エイズの赤いリボンなど、社会貢献の表現手段としてリボンが使われるようになったのはこのキャンペーンからです。しかし、エステローダーのような美、とくに女性の美を自らのサービス・商品として扱う会社が乳がんを社会貢献のテーマにすることは理解できるのですが、なぜフィルムメーカーが?という気持ちでした。
しかし、富士写真フィルムはその高度な技術を活かし、医療機器の開発も大きく手掛けており、アメリカでも医療用デジタルカメラおよび診断システム、記録システム、デジタルイメージング等々、医療の世界にデジタル技術を導入したリーディング企業として高い評価を受けています。今回の社会貢献は同支援団体の乳がん予防・治療を教育・啓蒙する活動への金銭的な寄付だけでなく、マンモグラフィー装置(乳房用X線撮影装置)の寄付、イメージカラーのピンク色をしたカメラを使ったマーケティングキャンペーンをサポートなどが含まれています。
このような日本企業のCSR活動は非常に嬉しいし頼もしい限りです。1980年代、海外との貿易摩擦解消のため現地社会に貢献しなければ、ということからスタートした日本企業の海外CSRが、より本業のリソース、ノウハウを生かした社会貢献活動に変わってくれば地域社会との信頼関係が増すことは間違いない。

参考記事
「フジフィルムと米国乳がんファンデーションの教育・啓蒙活動コラボレーション」CSRワイアー
Reference Article:
Fuji Photo Film Co. Ltd., “Fujifilm and National Breast Cancer Research Foundation Announce Collaboration to Help Save Lives Through Education and Screening, August 24 2006, CSRwire.com, CSRwire, LLC.